クセが凄い!ソムリエおすすめの日本の甘口ワイン10選!

甘口ワインと言って日本ワインを連想する人はほとんどいないのではないでしょうか。

今回は「甘口ワインと言えば、フランスかドイツかハンガリーでしょ!」って言っちゃうあなたにこそおすすめしたい日本の甘口ワインをご紹介します。

この記事では、私が迷いに迷って選んだ日本の甘口ワイン10本の、産地、品種、味わい、香り、美味しさの秘訣を紹介しています。

甘口ワインが好きな人やこれから日本に甘口ワインを飲んでみたい人はぜひ参考にしてください。

目次

意外と面白い日本の甘口ワイン

日本の甘口ワインの面白いところは、使用している品種が個性的な点です。

一般的に甘口のワインはリースリングやセミヨン、シュナンブランという品種がよく使われますが、日本では、甲州やマスカットベーリーAといった日本の固有品種や、生食でも馴染みのあるデラウェアなどで造られます。

その為、海外の甘口ワインでは味わえない特有の味わいや香りを楽しめます。また、日本の醸造技術は年々向上していて、ぶどうの品質も高くなっているので、日本の甘口ワインはどんどん美味しくなっています。

子供の頃から食べ慣れたぶどうで造られる甘口ワインはどことなく懐かしく、やはり日本人の口に良く合うなと感じています。

おすすめの甘口日本ワイン:北ワイン ケルナー 甘口

北ワインケルナーは北海道にある千歳ワイナリーで生産されています。千歳ワイナリーは北海道の冷涼な気候に特化した品種でワインの品質を高める努力を日々行っています。

今回おすすめするワインはケルナーという品種で造られる甘口の白ワインです。ケルナーという品種はドイツ原産の非常に香り豊かな品種です。

北ワインは、北海道の余市町の契約農家から樹齢25〜35年の葡萄の木からできるケルナーを使用しています。余市町は対馬海流の影響で北海道内でも比較的温暖な気候な為、ぶどうが良く熟します。

更に遅摘みすることで、ぶどうの糖度を最大限にまで上げて収穫されます。白桃の華やかなアロマが感じられ、すっきりとした甘口ワインに仕上がっています。

千歳ワイナリー 北ワイン ケルナー 甘口 2017
産地   :北海道千歳
ぶどう品種:ケルナー 100%

おすすめの甘口日本ワイン:おたる ゲヴュルツトラミネール

北海道の浦臼町鶴沼地区にある日本最大規模の自社農園「鶴沼ワイナリー」で収穫されたゲヴュルツトラミネール種を使った官能的な甘口白ワインです。

銘醸地として有名なドイツのライン地方の気候によく似ている事から、北海道の地で欧州系品種を中心に栽培を行っています。

鶴沼ワイナリーは、南向きの丘陵地にあり冬の寒さは比較的穏やかです。夏には台風の影響が少ない為、日照量が豊富であり昼夜の寒暖差が激しいなど、美味しいぶどうに育つ為に恵まれた環境です。

芳醇なライチの香りに冷涼な気候ならではのいきいきとした酸があります。また、収穫日を遅らせることでぶどうの糖度を引き上げ、甘味と酸味が絶妙なバランスをとっている甘口ワインです。

北海道ワイン おたるゲヴュルツトラミネール 2017
産地   :北海道浦臼町鶴沼地区
ぶどう品種:ゲヴュルツトラミネール 100%

おすすめの甘口日本ワイン:ナドーレマイルド

岩手県葛巻町にある岩手くずまきワインで造られている「ナドーレマイルド」は山ぶどうとキャンベルアーリーという品種を使った珍しい甘口ワインです。

山ぶどうは日本の野山に古来から自生していた野生のぶどうです。綺麗な酸味が特徴で栄養価が非常に高いと言われています。

栄養価の高さから、葛巻町では昔から出産した女性のお見舞いにこれの搾り汁が送られていたりと、この町の歴史に深く根ざしている品種です。

キャンベルアーリーが持つ甘みと山ぶどうが持つ酸味が調和したフルーティで飲み易い甘口ワインです。

ナドーレマイルド・赤(甘口)
産地   :岩手県葛巻町
ぶどう品種:山ぶどう、キャンベルアーリー

おすすめの甘口日本ワイン:アイスエッセンス 氷の妖精

山形県の朝日町にある朝日町ワインで造られる「氷の妖精」は極甘口のワインです。ぶどう品種はセーベル9110種とリースリング・フォルテというあまり聞き馴染みのない品種です。

朝日町は最上川がもたらす豊かな自然と、夏は暑く冬は寒い内陸性の気候で味の詰まったおいしぶどうが収穫できます。

醸造はアイスワインと似ていて、完熟したぶどうを人工的に凍らせ、ぶどうから浸み出した糖度の高い果汁を使って造られます。

南国フルーツのトロピカルな香りと芳醇な花の蜜の香りが口いっぱいに広がります。程よい酸味もあり、飽きの来ないいつまでも飲み続けていられる甘口ワインです。

朝日町ワイン アイスエッセンス 氷の妖精 極甘口
産地   :山形県朝日町
ぶどう品種:セーベル9110種、リースリング・フォルテ

おすすめの甘口日本ワイン:周五郎のヴァン

日本のワイン銘醸地である山梨県勝沼にあるグレイスワインで、日本の固有品種の甲州とマスカットベーリーAで造られる極甘口の赤ワインです。

「周五郎のヴァン」という変わったワインのラベルですが、由来は作家の山本周五郎氏が生前に絶賛した事から来ています。

マディラタイプの酒精強化ワインなのでアルコール度数は16%と高めです。レーズンの様なドライフルーツの凝縮した香りに、4年以上の樽熟成で醸し出されるビターチョコの様な大人っぽい熟成香が素晴らしいです。

ブルーチーズや生ハムなど、塩っけの強いおつまみと非常に好相性です。

周五郎のヴァン
産地   :山梨県勝沼
ぶどう品種:甲州、マスカットベーリーA

おすすめの甘口日本ワイン:五一わいん 貴腐

五一わいんは長野県塩尻にあり、創業1911年と長い歴史を持つ老舗のワイナリーです。五一わいん貴腐は、シャルドネ、ケルナー、セミヨンを使用した貴腐ワインという日本産の甘口ワインです。

貴腐ワインとは、貴腐菌というカビの力を借りてぶどうの糖度を上げて造った甘口ワインの事です。

貴腐菌はぶどうの果皮に小さな穴を開け、水分を蒸発させぶどうを萎びさせます。ぶどうの水分が飛ぶことで甘みが増し、収穫する頃には通常のぶどうと比べて糖度が倍以上になります。

手間隙かけて造られた貴腐ワインは、蜂蜜の様な濃密な甘みを帯びます。貴腐菌は気候や立地によって出来が左右される為、管理するのがとても難しく、大変貴重なワインです。

五一わいん 貴腐
産地   :長野県塩尻
ぶどう品種:シャルドネ、セミヨン

おすすめの甘口日本ワイン:コンコードデザート

このワインを造っている安曇野(あずみの)ワイナリーは長野県安曇野市にあります。日当たりがよく水捌けが良い恵まれた環境でぶどうを育て、テロワールを表現したワイン造りをモットーにしています。

「コンコードデザート」という甘口ワインは、コンコード種100%で造られた甘口の赤ワインです。

長野県の長和町で収穫されたコンコードの果汁を一度冷凍した後、冬場に自然解凍し、その時に溶け出た糖度と酸味の高いエキスを醸造して造っています。

甘口の赤ワインにしては珍しく色が非常に濃く、一目見ただけでその濃厚さが伝わってきます。ぶどうジャムの様に濃厚な果実感とプルーンの様な濃密な香り、程よい酸味が絶妙なバランスをとっています。

安曇野ワイナリー コンコード デザート
産地   :長野県安曇野市
ぶどう品種:コンコード 100%

おすすめの甘口日本ワイン:MVマタヤローネ

栃木県足利市にあるココ・ファーム・ワイナリーで造られている甘口の赤ワインです。日本の固有品種であるマスカットベーリーAを100%使用し造られています。

「MVマタヤローネ」は収穫したマスカットベーリーAを干して半乾燥させ味わいを凝縮させています。

「マタヤローネ」という名前は、このワインと同じようにぶどうを干してから造るイタリアで有名なアマローネに敬意を表して付いたそうで、ネーミングセンスも抜群ですね。

高級なメープルシロップとラムレーズンのニュアンスを感じます。アルコール度数は14.6%と少し高めで、余韻が長く香り豊かに仕上がっています。

ココ・ファーム MVマタヤローネ
産地   :栃木県足利市
ぶどう品種:マスカットベーリーA 100%

おすすめの甘口日本ワイン:フランシスコデラウェア

このワインを造っている安心院(あじむ)葡萄酒工房は大分県宇佐市安心院町にあります。大分県にワインのイメージがあまり無い人も多いかと思いますが、今ではとても有名なワイナリーの一つです。

安心院葡萄酒工房のスパークリングワインがANAの国際線で提供されたり、日露首脳会談の乾杯に出されたことで注目を浴びました。

今回おすすめするのは、そこでデラウェアを100%使用して造られる甘口ワインです。−20℃に冷凍したデラウェア を2日かけて圧搾し、搾った濃厚なエキスを低温発酵します。

桃や洋梨の豊かな香りと花の蜜の様な余韻がとても心地よく長く続きます。熟れた果実の甘みと、いきいきとした酸が調和した上品な甘口ワインです。

安心院ワイン フランシスコ デラウェア
産地   :大分県宇佐市安心院町
ぶどう品種:デラウェア 100%
 

おすすめの甘口日本ワイン:TOMOE マスカットベーリーA ロゼ

広島県三次市にある三次ワイナリーで造られている甘口のロゼワイン です。日本の固有品種であるマスカットベーリーAを使用したロゼワインです。

三次ワイナリーのワインは2016年のG7広島外相会合の食事会で出されるなど、広島を代表するワイナリーです。また、この甘口のロゼワインも国内外のワインコンクールでの受賞歴もあり、評価の高いワインです。

透き通った綺麗な桜色をしていて、イチゴやラズベリーの様な赤いベリー系を思わせる香りがします。

TOMOE マスカットベーリーA ロゼ
産地   :広島県三次市
ぶどう品種:マスカットベーリーA 100%

おすすめの甘口日本ワインまとめ

今回はおすすめの甘口日本ワインをご紹介しました。日本の甘口ワインは日本独特の品種を使用していることも多く、世界の甘口ワインでは中々楽しめない味わいを持っています。

日本の甘口ワインで使用されている品種
  • 甲州
  • マスカットベーリーA
  • デラウェア
  • 山ぶどう
  • セーベル9110種

日本ではぶどうをワインとしてではなく、果物として食べてきた歴史が長いので、ぶどうの品種も生食用のものが多いです。その為、日頃から馴染みのある味わいと香りに懐かしさすら感じます。

また、醸造の技術も年々向上していて、ぶどうを凍らす手法や干しぶどうにしてから作る手法、恵まれた環境でしか造ることができない貴腐ワインなど、日本のオリジナリティ溢れる甘口ワインが出てきています。

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