チリワインを飲んでその安さと美味しさに驚いた人も多いでしょう。他の国と比べてどんな特徴があるのか気になりますよね?
この記事を読むことで、チリワインの美味しさの秘密や他の国には無い個性などを知ることができます。
ワインが出来るまでの背景を知ることで、これから飲むチリワインがより美味しく感じると思いますので是非参考にしてみてください。
目次
チリワインの味と香りの特徴
チリワインの味わいの特徴は、どのワインも果実の凝縮感があり非常に濃く感じます。
チリは雨が少ないので日照量が豊富です。その為、ぶどうが良く熟し濃ゆいワインができるのです。また、香りはぶどう品種の個性がよく表れています。
赤ワイン用のぶどう品種であるカベルネソーヴィニヨンは、果実の凝縮感がありミントの様な香りになりますし、白ワイン用のブドウ品種であるソーヴィニヨンブランは独特のハーブの爽やかな香りがします。
ハウスワインの様にお手頃価格のワインでも、品種の個性を感じ取ることが出来ますので、飲み比べをしたい時などにおすすめです。
チリワインの季候風土の特徴
チリワインは気候風土を知っているとより楽しむことができますので、まずは下のマップをご覧ください。
チリワインの季候の特徴①自然の要塞に守られている
チリで造られているワインのほとんどが、中央にあるピンク色の部分に集中しています。
チリの東側はアンデス山脈が走り、北側はアタカマ砂漠、西は太平洋、南は南氷洋で囲われています。この自然の要塞に守られたチリは、外国から害虫が入ってこない為農薬を抑えたぶどう栽培が長く行われています。
チリワインの季候風土の特徴②フンボルト海流
太平洋を流れるフンボルト海流という冷たい海流は、大気を冷やし海水の蒸発を抑えます。その為、チリは雲が発生しにくく雨があまり降りません。
チリワインの季候風土の特徴③日照時間が長い
チリは雨が降りにくい季候ですので、比例して日照時間が長くなります。その為、ぶどうが良く熟すので濃厚なワインを造る事ができます。
チリワインの季候風土の特徴④一日の寒暖差
日中と夜で寒暖差がある場所はぶどうの栽培に適しています。
チリは長い日照時間で昼間の気温は上がり、夜は寒流の影響で気温が下がります。一日の寒暖差が激しいのでぶどうの栽培に適しています。
チリワインの季候風土の特徴⑤乾燥している
チリは先ほどご紹介したフンボルト海流のおかげで雨が少ない国です。雨量は日本の大体1/3程度です。
ワイン用のぶどうは雨の少ない乾燥した場所が好まれます。雨が多いと水分で樹木が成長してしまい、果実に栄養が行きにくくなるからです。
チリワインの気候風土の特徴⑥河川の存在
ワイン用のぶどうは乾燥した場所が好きですが、植物である以上水分は必要です。雨が降らず乾燥した日が続く場合は「灌漑」をする必要があります。
灌漑とは、河川などから水路を引っ張ってきて土地を潤す事です。ぶどうを栽培している地域にはいくつかの河川があり、雨が降らなくても容易に灌漑をすることができる恵まれた場所です。
チリワインのぶどう品種の特徴
日本で見かけるチリワインによく登場するぶどうの品種を紹介します。
- ソーヴィニヨンブラン
- シャルドネ
- カベルネソーヴィニヨン
- メルロー
- カルメネーレ
- シラー
- ピノノワール
この中で押さえたいのは白ワインの「ソーヴィニヨンブラン」と赤ワインの「カベルネソーヴィニヨン」「カルメネーレ」です。
チリワインのぶどう品種:ソーヴィニヨンブラン
ソーヴィニヨンブランはチリで最も栽培されている白ワインのぶどう品種です。
海岸の近くなどフンボルト海流による冷涼な気候で栽培され、柑橘系のフレッシュな味わい、ハーブの爽やかな香りが特徴的です。
海の影響を強く受けるとミネラル感が強くなり、ほのかに潮の香りがします。品種の特徴がよく出ています。
チリワインのぶどう品種:カベルネソーヴィニヨン
カベルネソーヴィニヨンはチリで最も栽培されている赤ワインのぶどう品種です。
チリの恵まれた日照条件により実が良く熟します。豊かな果実味と黒いベリー系の凝縮した香り、ミントの様な爽やかな香りも併せ持ちます。
飲みごたえがあり力強いワインになるのが特徴的です。
チリワインのぶどう品種:カルメネーレ
チリと言えば欠かせないのが赤ワインのぶどう品種カルメネーレです。チリ以外ではあまり耳にしない品種ですね。
濃いガーネットの色合い、ビターチョコの様な苦みや胡椒の様なスパイシーな香りがよく表現されます。
カベルネソーヴィニヨンと相性が良いため、ブレンドしたワインも造られます。
チリワインの値段の特徴
チリワインではよく「ハイコスパワイン」なんてキャッチコピーが使われますよね。
チリワインのは美味しいのに安いのが特徴的です。チリワインが安い理由は人件費と関税です。
人件費が安い
チリは他の先進国と比べ人件費が安いです。手間隙をかけるとその分人件費は上がりますが、チリの場合は人件費が安いので、高いクオリティでも安く抑える事ができます。
輸入に関税がかからない
日本がチリと結んでいるEPA協定のおかげで、チリワインを輸入する時に税金がかかりません。その為、他国の同じクオリティのワインに比べ安く販売する事が出来ます。
チリのワインは高いクオリティでもかかるコストが低い為、美味しくて安いワインが実現できるのです。
チリワインの個性
チリのワインは他国にはない特徴があり、それが唯一無二の個性となっています。
フィロキセラの被害から免れた国
フィロキセラとはぶどうの根に寄生する害虫です。フィロキセラに寄生されるとぶどうの木は枯れてしまいます。
フィロキセラはもともと北アメリカにいた害虫ですが、北アメリカのぶどうの苗木をフランスに持ち込んだことが原因でフィロキセラがヨーロッパを襲いました。
被害は甚大で、ヨーロッパだけに留まらず世界中のぶどうが被害を受けました。しかし、唯一被害を受けなかった国があります。それがチリです。
チリは四方を山、砂漠、海で囲われている為、フィロキセラの被害を受けなかったのです。その為、樹齢100年を超す古木もあり、他の国ではできないチリワインの個性となっています。
ヨーロッパから栽培家がチリに移住
フィロキセラはワインが絶滅しそうな被害を与えましたが、接木という方法で解決することが出来ました。接木とは二つの植物を切って繋げる技術です。
元々北アメリカのぶどうの木はフィロキセラに耐性がありました。下半分を北アメリカのぶどうの根に、上半分をヨーロッパのぶどうの木にすることでフィロキセラの被害を食い止める事ができたのです。
ヨーロッパと北アメリカのハーフになったぶどうよりも、純粋なぶどうを育てたいヨーロッパの栽培家達は、フィロキセラの被害が無くワインを造る条件の整っているチリに移住してきました。
フランスなどヨーロッパのワイン造りの伝統的な技術や知識もこの時チリに伝わったのです。
メルロー勘違い事件
チリでメルローのワインを造ると、なぜか青臭いワインができてしまうという話がありました。気候や土壌の影響など、チリの季候はメルローに向いていないとされていたのです。
しかし、近年メルローだと思っていたぶどうは実はカルメネーレという別の品種だったことが分かったのです。
メルローとカルメネーレは見た目が似ている為長い間、間違えられていたようです。
二つの品種はぶどうの実の成熟の仕方が違う為、メルローのタイミングでカルメネーレを収穫していたのが青臭い原因だったのです。
おすすめのチリワイン
チリワインは安すぎるので、もしかしたら美味しくないのではないかと構えてしまっている人がいるかもしれませんね。
ソムリエとして美味しかったチリワインを紹介しますのでぜひ参考にしてみてください。
サンタ・ヘレナ・アルパカ・カルメネーレ
チリ特有のぶどう品種カルメネーレだけで造ったワインです。アルパカシリーズはどれも安く美味しいです。コンビニやスーパーでも手に入りますのでぜひ飲んでみてください。
この価格とは思えない味わいで、お肉料理全般に合わせる事が出来ます。アルパカシリーズのレビューもしていますので下記の記事も参考にしてみてください。
チリワインの特徴まとめ
今回はチリワインの特徴について紹介しました。内容をおさらいします。
- チリの気候風土はワイン造りに適している。
- チリのワインを飲むならソーヴィニヨンブラン、カベルネソーヴィニヨン、カルメネーレは必ず飲む
- チリのワインが安いのは、人件費が安く輸入に関税がかからないから。
- チリワインには他国に無い個性がある。
チリワインはクオリティを下げて安くなっているわけではありません。ワインを造る過程でかかるコストが低いため、高いクオリティのものでも安く仕入れる事ができます。
こんなに安価でチリワインの個性が楽しめるのはとてもありがたい事ですので、ぜひチリワイン飲んでみてください。