柏原ヴィンヤード遅摘み・マスカットベーリーA 2019をいただきました。
この赤ワインは日本の固有品種の一つであるマスカットベーリーAを使用し、ぶどう産地としても有名な山形県で生産されています。
今回は元シェフソムリエの視点からこのワインの美味しさの秘密や相性の良い料理を解説していきます。
これからこのワインを飲もうと思っている方はぜひ参考にしてみてください。
目次
柏原ヴィンヤード遅摘み・マスカットベーリーA 2019の感想
ワインの色調は濃いめのルビー色。よく熟した赤いベリー系の香りとほのかに土っぽい香りがします。樽熟成はしていないようです。
マスカットベーリーAにしては珍しくアルコール度数が13%あり味や香りがふくよかに感じられます。味わいはぶどうジャムの様なよく熟した果実感と豊かな酸によってワインの存在感があります。
これまで飲んできたマスカットベーリーAのワインの中でも飲み応えがあり、満足感を感じられますね。
ワインの主張の具合がちょうど良く、幅広い家庭の料理と合わせることが可能です。100点満点中90点の評価です。
柏原ヴィンヤード遅摘み・マスカットベーリーAの特徴
柏原ヴィンヤード遅摘み・マスカットベーリーAが持つ特徴や美味しさの秘密を解説していきます。
産地の特徴
このワインは山形県の朝日町という所で生産されています。朝日町の中心部には最上川が流れており、その両岸に広がる粘土質の土壌から上質なぶどうが栽培されています。
昼夜の寒暖差が大きいなど、ぶどう栽培において恵まれた自然環境が揃っており、上質なワインを造ることができます。
美味しさの秘密
このワインの美味しさの秘密はワインの名前にも書いてある「遅摘み」です。
遅摘みとはぶどうの収穫をあえて遅らし、限界まで実を熟す事で、ぶどうの糖度と果実味を最大限まで高めて収穫する事です。
これにより、よく熟した果実感を感じられるだけでなくアルコール度数も高くなる為、存在感のあるワインに仕上がります。
マスカットベーリーAを使用したワインのアルコール度数は平均で11〜12%です。このワインは13%まで高められていますので、他のワインと一線を画している要因ですね。
マスカットベーリーAとは
マスカットベーリーAというぶどう品種は、実は日本の固有品種の一つです。
2013年にOVI(国際ぶどう・ぶどう酒機構)のリストに掲載が認められ、日本を代表する品種となりました。日本で仕込まれる赤ワイン用の葡萄品種としては一番多く正に日本ワインを代表する品種です。
このぶどうでワインを造るとタンニン(渋み)が穏やかで軽やかな仕上がりになります。
また、甘いキャンディや黒蜜のような香りがして、個性的なワインも数多く存在します。最近では長期熟成させたものも出てきて、これからの進化に目が離せないぶどう品種です。
柏原ヴィンヤード遅摘み・マスカットベーリーAに合う料理
このワインの良いところは、存在感はありますが主張が強くないので料理の邪魔をしません。その為、日本の家庭料理に幅広く合わせる事ができます。
今回、お試しで魚介ベースの鍋とカレーライスに合わせてみましたが、どちらも美味しく合わせることができ、このワインのポテンシャルの高さを感じましたね。
他に合わせるとしたら、焼き鳥やコロッケ、肉じゃが、照り焼き系など、少しタレやソースの甘みを感じる料理が相性良いでしょう。
柏原ヴィンヤード遅摘み・マスカットベーリーAまとめ
日本の山形県朝日町で生産される遅摘みワインを堪能しました。
遅摘みという手法を用いて、糖度を最大限に引き上げ収穫することで、マスカットベーリーAの中ではアルコール度数の高い存在感のあるワインに仕上がっています。
ワインの主張は程よく、幅広い料理と合わせることができます。好相性なのは甘辛いタレを使用した料理です。
ワインを開けてから二日目までは味と香りをよく感じられましたが、三日目以降からは酸化が進み美味さが半減しましたので、飲む場合は二日以内をおすすめします。